お前は黒の服がお似合いだよ。
正しい着飾り方も知らないで、
光が輝く場所だとも知らないで、
夜の道をウイスキーで満たすままでいる。
生まれる前から存在するこの道や建物と自分の生きてきた時間を比べて僕は自分の愚かさを感じている。
僕に何が足りないのか。
なぜ満たされているものに気付かないのか。
それは誰も教えてくれない。
自分の努力も涙も声も意味がない。
それはただの自分自身の欲望だから。
君に縋ろうとする心が、時計の針を錆びさせる。
世界の広さに疑問を抱く時があった。
今思えば電車のホームでイヤホンをして君と電話をしてる時から、僕と君だけの話だったのかもしれない。
花柄の服が似合う君の側で僕は輝いていた。
僕は自分を知ろうとしなかったから、
君が輝いていることに気づかなかったんだ。
だからお前は黒の服がお似合いだ。
正しい着飾り方も知らぬままに。